2022.7.04
戦略広報実績
事例インタビュー
バンダイナムコインディア 取締役 兼 COO 八木健夫氏
バンダイナムコグループのインド現地法人Bandai Namco India Private Limitedは、2020年1月よりアミューズメント施設「NAMCO Seawoods Grand Central(ナムコ シーウッズ グランドセントラル店)」を、ナビ・ムンバイ地域にある商業施設「Seawoods Grand Central」内にオープンし、運営しています。
http://www.bandainamcoindia.com/
当社にとってインド国内唯一の施設でありながら、商業施設と同時にオープンしたということもあって、どのようにしてお客様に存在を認識してもらい、来店いただくかが最大の課題でした。
そこで、戦略広報プロジェクトマネジメントという視点からTAKK Corp.にご協力を依頼したことがきっかけです。そもそも戦略広報とは何か、を考えていくことから私たちの広報活動はスタートしました。
まずは現状の課題について、ご提案いただいたフレームワークを使って整理していきました。すると、施設がオープンしているにもかかわらずウェブサイトを開設していないことや、プロモーション計画ができていない、などの事実が浮き彫りになると同時に、施設・サービスへの理解が足りていないのではないか、という自分たちの課題意識へと繋がっていきました。
そこからはもう一度施設について理解するためのディスカッションを、TAKK Corp.を交えて丁寧に行いました。店の場所はここで、ショッピングモールはこういうもので、価格はこうです、というように。サービスの中身についてもプライズゲーム、アーケードゲームなど一つひとつ挙げて理解を深めていきました。
そうするうちに大きな気づきが生まれます。それは、私たちは自分たちの施設について「ゲームをコンテンツとした施設」と認識していただけに過ぎなかったということ。認知度を上げることから必要なインドでこの施設を成功させるには、単に「ゲームで遊ぶための場所」で完結させてはいけない。ゲームはあくまでコンテンツ(モノ)で、それによって得られる体験や感情などのあらゆる要素がお客様にとっての価値であり、その空間とサービスを提供できることが私たちの強みなのではないだろうか。この気づきが、私たちの広報活動におけるコンセプトになっていきました。
コンセプトが定まり、次は具体的なアクションプランに落とし込んでいきます。
「私たちだからできること」を軸に、アーケードゲーム大会の企画や、学生向けに社会科見学を実施してみないか、企業向けに研修の場として提供できないか、など施設のあらゆる可能性についてチームで出し合いました。そうして数々のアイデアの中で実際に実施することになったのが、ゲーム大会とバースデーパーティです。
ゲーム大会は、施設のオープンから2ヶ月後の3月半ばに数日間実施しようと決めて、順調に準備を進めていました。ところが、コロナウイルスの影響で商業施設が長期の休業を余儀なくされ、開催できたのは初日の1日だけ。
こればかりは想定外で、施設を運営することが唯一の事業であり収益源だった私たちにとっては深刻な問題でした。営業が再開できない以上は収入が見込めないわけですから、支出をできるだけ食い止めようと考える一方で、閉店している間もビジネスになることがないか、メンバー同士で議論を重ねました。
その時に出てきた企画の一つがオンラインバースデーパーティです。各家庭で開かれていたであろうバースデーパーティがコロナの影響によってできなくなってしまった子供たちへ希望を募り、私たちがオンラインパーティを演出するという企画です。
当日はスケジュールを組んで司会進行を行い、ゲストのご家族やお友達同士がオンラインで繋がりながら、会話やゲームを楽しんでいただきました。
このように、直接会うことができない状況を活用したコミュニケーションの場を創り出せたのは、初めにコンセプトを決めていたからだと思います。
この企画のWEBシステムの開発とスキームにおいては、現地で採用したWEBデザイナーが貢献してくれました。実は広報のコンセプトを決めた時に、クリエイティブに精通した人材が社内に必要だという話にもなり、WEBとグラフィックのデザイナーをそれぞれ採用していたのです。この時にスキルチェックシートを用意してくれたのもTAKK Corp.です。扱えるソフトやポートフォリオなどの実務的なチェックポイントのアドバイスだけでなく、私たちの広報戦略を実現するために必要な視点も示していただけたので、チームビルディングもスムーズでした。
約9ヶ月という長く苦しい休業期間でしたが、常に何かできることを見出し、動き続けたことが、現在も店舗が存続している事実に繋がっていると思います。営業再開日はちょうどクリスマスの日だったのですが、バースデーパーティのノウハウを活かして、取引先の方々をオンラインクリスマスパーティにお招きしました。
私たちはTAKK Corp.の支援を通して、目の前の課題に対して自分たちの力で考え、継続するということが難なくできるようになったと感じています。
デザイナーを採用したことで最もプラスになったのは、何かを発信する際のスピードの速さではないでしょうか。広報活動は企画と発信の繰り返しですが、デザイナーが社内にいることで、思いつきの段階でもイメージが形になっていくプロセスを確認しながら進めることができるので、決定までが速いのです。
先日もメンバーズカードのデザインの改訂を行っていましたが、まず私からデザイナーに趣旨を説明し、鉛筆書きのラフの段階で見せてもらいます。細かいプロセスごとに確認を入れながらイメージをアップデートできたので、認識のずれがなく、スムーズにデザインを作成することができました。
このやり方については、以前よりTAKK Corp.に議論をまとめていただいたり、ポイントをご指摘いただいたりした時の経験が活きています。どんな物を作る時にもケーススタディに基づいて考えられるので、活動全体の効率が上がったと感じています。
コロナ禍がピークを過ぎた今、施設が利益を生み出すための施策について本格的に考える時期を迎えています。バンダイナムコグループとしても、来年度から企業理念体系を新たに「パーパス」として制定し、ゲームコンテンツを提供する存在から、お客様と繋がり、共に創る存在になれるようさらに力を入れていきますので、チャレンジの多いフェーズに入っていくと思います。
もちろん、インドのお客様に向けても同じで、ゲームの枠を越えて、日本で親しまれているキャラクターやコンテンツをお楽しみいただけるよう活動を推進していきたいと思っています。今後は、その目的を踏まえた活動コンセプトをTAKK Corp.と一緒に考えていけたら嬉しいですね。
PAC-MAN™&©️BANDAI NAMCO Entertainment Inc.
TAKK株式会社 代表取締役 湯浅卓
戦略広報の視点から戦略を練り、コンセプトを決め自走できる体制と組織作りをお手伝いさせて頂きました。
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