広報(PR)の重要性と、広報組織の内製化の方法

広報(PR)の重要性と、広報組織の内製化の方法

売上げや顧客を増やし、企業価値を高める取り組みにはさまざまなものがありますが、その中の一つに「広報(PR)」があります。

「広報(PR)は直接売上の向上に結びつくわけではない」という認識が広まっており、広報(PR)に予算を割く企業は多くはありません。しかし、本当にそうなのでしょうか?

私たちは、広報活動は営業の土台であり、あらゆる方向から企業価値を高められる「最強の武器」であると考えています。

広報(PR)とは「イメージ作り」である

そもそも、「広報」とは何を指すのでしょうか? 広報を定義するならば、「日頃から社会との良好な関係を構築し、企業・商品・サービスに対する信頼度を高めるための活動」といえます。

私たちが商品やサービスを購入するとき、単に機能面だけで選ぶことはほとんどありません。品質以外にも、「この会社の理念が好き」とか、「センスがいい」など、企業そのものに何らかのイメージを抱いていて、それが購買につながっていることはとても多いものです。

このイメージを意図的に操作するものが「広報」です。

広告で網を張り、販促で囲い込む

広報と混同されやすいものに「販促(販売促進)」や「広告」などがあります。広報と販促の違いを聞かれたときに、明確に答えられる人は少ないのではないでしょうか。

スポーツシューズのメーカーを例に挙げ、これらの違いについて見てみます。

新商品を発売するとき、アプローチとして必要なことは、認知を広めて購買意向を高めることですね。そのために、メーカーはSNS上で広告を打ったり、テレビでCMを流したりします。これが広告です。

広告の効果で認知が広まれば、商品を実際に手に取ってみたい、購入したいというニーズが生まれます。試着をしてもらったり、商品に詳しい人に相談してもらったりできる場所を整えておけば、商品が売れるチャンスを増やすことができます。その際には、実店舗を持つ、スポーツ用品店に働きかけて商品を置いてもらうなど、いろいろ方法があるでしょう。

このように、販売のチャンスを増やすための環境を整える作業が「販売促進」です。 つまり、広告によって間口を広げて多くの人に知ってもらい、販売促進によって確度の高い顧客に向けて深くアプローチすることができるようになるのです。

土台がなければ、広告も販促も効果が半減する

とはいえ、そもそも「その会社が作るシューズは良い製品である」という前提が消費者になければ、広告や販売促をしたとしても十分な効果は期待できません。

「この会社が作ったシューズなら機能面は問題ないはずだ」「商品に外れがない」「アスリートがよく使っている」など、メーカーに対する好意的なイメージが、新商品に対する関心や購買の土台にあるのです。 もうお分かりですよね。この土台を作るものが「広報(PR)」なのです。広報は、企業と社会との良好な関係を日頃から構築し、企業・商品・サービスに対する信頼度を高めます。

広告と広報の違いを表にまとめると、このようになります。

広告広報
概念マーケティングPR
対象ターゲットステークホルダ
(対象)意図された消費者・顧客市民・公衆・社会
意図宣伝情報発信
立ち位置広告主法人
情報形式有料広告媒体記事・番組・SNS等

広告と広報では、対象や情報形式などが全く異なっていることがお分かりいただけるのではないでしょうか。

SNSの普及によって、多くの企業がTwitterやインスタグラムなどのSNSを広告媒体として活用していますが、SNSは、「情報を発信することで企業やサービスをPRする」ことに適しているため、SNS上で常に自社の宣伝をアピールしても、ユーザーにはあまり受け入れてもらえません。

また、広報には即効性はなく、とにかく露出機会を増やして1人でも多くの人の目に触れ、商品やサービスを記憶してもらうことが目的ですから、有料の広告媒体を使うとコストがかかって仕方ありません。 このように、広報と広告の区別が曖昧になってしまうと、狙った効果と逆の効果が出てしまうおそれがあるのです。

広報(PR)の効果

広告や販売促進では、ターゲットは顧客に限定されます。一方、広報のターゲットは「ステークホルダー」です。ステークホルダーには、顧客や取引先、投資家、就職活動中の人など、企業に関わるさまざまな立場の人を含みます。

このように、広報はあらゆる方面に向けて良好な関係を構築し、企業・商品・サービスに対する信頼度を高めるものなので、得られる効果も非常に多岐にわたります。

例えば消費者に対する広報では、売上増加やブランディング、新規顧客の開拓などが期待できますし、株主・投資家に対する広報なら資金調達が期待できます。

また、従業員に対しても広報を行う(インナー・ブランディング)ことができます。インナー・ブランディングには、従業員に企業理念が浸透する、モチベーションが向上するなどの効果が期待できます。

このほか、実はリスク管理も広報によって得られる効果の一つです。

同じ言動でも、その言動をした人に対して好意を持っているかどうかで、こちらが抱く感情は大きく変わります。

例えば、相手が待ち合わせの時間に30分遅刻してきたとしましょう。その相手が今日初めて会う人だったとしたら、あなたはどう感じるでしょうか? 相手が何年も一緒に働いてきた同僚だったとしたら、どうでしょうか。

おそらく、抱く感情には大きな差があるのではないでしょうか? 広報によって消費者や見込み客と日頃から良好な関係を構築することができていれば、仮に企業に不手際があったときでも、企業イメージの悪化を最小限にとどめることができるのです。

中小企業こそ、広報活動を始めよう

広報活動は非常に多様な効果が期待できることがお分かりいただけたと思います。そのため、リソースが確保できる大企業では、独立した広報部署を置いて力を入れているのです。

中小企業が専門の広報部署を作ることは難しいかもしれませんが、できることから広報活動を始めてみてはいかがでしょうか。広報チームを組成するときに重要なポイントが、次の3つです。

1 広報チームの構成メンバーには多様性を持たせる

広報活動において重要となるのが、「構成メンバーの多様性」です。

広報チームを構成するメンバーは、できるだけ多くの部署、立場、年代が分散するようにしましょう。ありがちなのが、総務課や企画課などの社員だけで広報チームを組成するケースです。

しかしこれでは、知見やアイデアが偏ってしまいます。できるだけ、総務や人事、営業、企画など、多くの部署からメンバーを集めましょう。さらには、年齢層やポジション、性別などもできるだけ多様にします。

イメージとしては、縦割りではなく「横串」のチームを作るイメージです。トップダウンで広報物を作るのではなく、チームメンバーが対等に発言することができ、わいわいガヤガヤ言いたいことを言いながら、楽しく面白く広報に関われる。そのようなイメージでチームを組成していきましょう。

このように多様なメンバーでチームを構成することにより、多部署からさまざまな「生の声」が広報チームに集まり、情報を的確に把握することができるようになります。部署を横断して企業理念が浸透したり、集合知で経営戦略を精査できたりと、さまざまな副次的効果も期待できます。

多様な方がいいとはいえ、営業と人事はチームに絶対に入れる必要があります。なぜなら、営業も人事も広く人と人をつなぐ「窓口」であり、広報物を利用する頻度が高い部署だからです。この点は意識してください。

2 風通しがよく、否定されない環境が大切

横串のチーム編成ができたとしても、それだけでは広報チームはうまく機能しません。重要なことは、チームの風通しが良いことです。

若手が意見を出しにくい風潮があったり、社長がワンマンだったりする会社では、広報チームはうまく機能しません。

どのような立場のメンバーであっても、自分の意見が通りやすい環境を整えましょう。このような環境では、たとえ意見が採用されなかったとしても「受け入れてもらえている」という安心感を持つことができます。

安心して発言できる場があれば、積極的に発言できるようになります。そうすると、メンバーがより自分事として会社のことを考えてくれるようになるのです。

経営者やチームリーダーの多くが、「社員のモチベーションが上がれば、会社にコミットしてくれるはずだ」と考えているのではないでしょうか。しかし、実は社員一人一人のモチベーションが上がるからこそ、社員が会社にコミットしてくれます。

モチベーションが高いからこそ、会社の改善点が思いついたり、もっと事業を拡大する方法を思いついたりするのです。

これは広報活動も同様で、メンバー一人ひとりが楽しみながら仕事に関われる環境を用意することによって、広報の生産性が非常に上がります。

広報の仕事を引き受けることによって負担が増えたとしても、やりがいや充実感を得ることができる。そのような環境を整えることが、広報チームを活性化させるためにはとても大切です。

3 成果を可視化する

営業やマーケティングは、成果が販売数や問い合わせ件数などに直接現れやすいものです。しかし、広報は対象者が広い分、成果が可視化しにくい特徴があります。これが、企業が広報活動に積極的に乗り出せない要因の一つです。

対策として、定期的に可視化できるようにサーベイ(実地調査)をとるといいでしょう。従業員にアンケートをとって満足度を調査する、商品やサービスを利用している顧客に対して商品の使用感などを調査するなど、サーベイによってさまざまなことを可視化することができます。

企業にとってさまざまな恩恵をもたらす「広報活動」。重要性を理解した企業は、専門部署を作って広報に注力しています。

広報活動や広報組織の組成などに課題を持っている企業様がいらしゃいましたら、ぜひお問い合わせください。
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>Goal Driven, Future Focused.

Goal Driven, Future Focused.

未来を見据えてアクションを取り(Future Focused) そのアクション自体の原動力はゴール(Goal Driven)であるという理念のもとに事業を遂行する。

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